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拝啓 晩秋の実りが金色に輝く美しい季節を迎えました。皆様方にはお変わりなく、御健勝のこととお慶び申し上げます。平素はなにかと当サロンをお引き立て頂き、まことに有難く存じます。 早いもので、11月1日をもちまして、山村サロンも丸2年を経過致し、3年目の秋を迎えることになりました。その間、大過なく維持発展させて頂くことができましたのも、皆様方のお蔭と感謝致しております。 昨年に引き続き、2冊目の会報をお届け致します。 昨年のものよりは、少しばかり詳しくサロンの1年が記されているものになりました。お楽しみ頂ければ幸甚に存じます。
山村サロンの主催事業は文化・芸術を柱とするサロン・メンバー制の5つの催し物と、花外楼アイル・モレのお食事をお召し上がり頂く「気まぐれ料理お楽しみ会」がございます。「日本の伝統美」は前者教養サロンの特別講座に位置づけられ、単発的には画家石阪春生先生をお招きしての美術の講座もございました。音楽会もこれからは主催或いは共催の形のものが増えてゆくものと思われます。 メンバーの数は漸次増加し、それぞれの会におきまして活発に懇親を深めておいでです。よき人がよき人を呼ばれ。交流の輪がとどまる所を知らぬごとくに広がっていきます。それは暖かく面白く、思いやりの優しさに充ちた まごころとまごころがそこここに出会うとき、私どもは心からこの仕事を始めてよかった、と胸が一杯になってしまいます。 村山リウ先生。いつまでもお元気で。回を重ねるごとに新しいお顔が見えられます。昔も、そして今も先生を生きる支えにしている女性は数多いのです。 岩永博先生。一日の大半をダンスに捧げる厳しい毎日を送っていらっしゃるのに拘わらず、サロンにお越しになりときは微笑みのかたまりです。お人柄を慕われての舞踏会の会員、私もその一人です。 加藤淡斉先生。茶花についての大著を出版されるほどの斯界の権威でありながら、圧倒的な明るさと気さくさで私たちに接して下さいます。お茶花そのままの自然さが先生のご人格の美しさと大きさなのだと思います。 咲大夫、彰輔両先生。文楽のサロンは白熱するお二人と熱心なお客様との議論に盛り上がっています。古典芸能は衰退ぎみですが、古き善き日本人の心こそ私たちが継承していかねば誰がする、といった気概に溢れています。 水谷川忠俊先生。先生の解説を聞きたいからここへ来るのよ、とおっしゃる方もいらした程。その語り口は平明にして奧行きが深く、若く才能ある音楽家の演奏を楽しませて頂きました。惜しくも9月をもって終わってしまいましたが、これでお別れというのでなく、またお目もじできる日も必ず訪れると存じます。
「日本の伝統美を探る」は幽美会の皆様の篤いご協力によりまして、第3回目まで盛況裡に続きました。小西平内、角倉平治、吉沢宣栄の諸先生方、どの先生もひとつのことを突きつめておいでになった深い処での厳しさと、その年輪によってこそ穫得された、どこかひょうひょうとした味わいに、私どもは非常に多くのことを学ばせて頂きました。11月の西岡常一先生の回も楽しみです。来年もまた、企画を進めて参る所存です。 「きまぐれ料理お楽しみ会」はサロンのよきパートナー、アイル・モレ 花外楼の、腕によりをかけたお料理をお楽しみ頂く企画です。和食あり洋食あり、また和洋食あり、ハイネケン生ビールが飲み放題の回があり、ワインの新酒をお楽しみ頂く回もあり、北浜花外楼の伝統と現代のすべてをお客様にご覧頂いております、これも継続させて頂きたい企画です。
<一年を振りかえって>
当サロンも2年目を迎え、初年度の失敗やてんやわんやのうちに習得させて頂いた <よりよい方法> がようやく見えてきはじめ、4つの音楽会と2つの展示会を中心に。華やかに和やかにスタート致しました。 クラス会や法事、企業主催の講演会などがその間隙を埋め。珍しいところでは、お寺の記念祭がありがたい歌舞音曲と共に繰りひろげられました。
年末はやはりパーティーが多くなります、その中でオリジナルニット内見会は、きたるべき春を先取りした催しでした。披露宴も、舞台のあるこのサロンでは音楽披露宴が可能になります。神戸中央合唱団の中村仁策先生も、この日この舞台で指揮をとられました。若い方々の創造性あふれる披露宴は誰にも忘れられないものとなることでしょう。お幸せに… 渡辺健二氏のリサイタルがこの月唯一の音楽会、ピアノを実に美しく響かせられました。
お正月は、なんといっても新年宴会とお初釜。茶室としてもご利用頂けるサロンの和室が、1年中で最も晴れがましく映える月です。女性のお召し物も、また…… お正月の同窓会もいくつか。またブリッジなど、ご趣味のお仲間の新年会も開かれており、明るい気分を盛り上げておいでございました。 世界的な老巨匠エッガー先生がピアノをお弾きになりながらの音楽講座「ベートーヴェンの文学的・詩的インスピレーションについて」は、まことに滋味溢れる語り囗で、聴衆に深い感銘を与えました。
吹雪と寒さの下で、新しい芽はもう吹き出ようとしています。早春の先ぶれを一挙に開花させたような「ロイヤル・フラワー・アレンジメント亅展示会は、まことに百花綾乱の美しさ…
春の調べはギターコンサートの清楚な響きによって、幕が開けられました。「さくら」変奏曲やモーツァルトが、いかにも爽やかに美しく、春の訪れを告げたのです。 桧の能舞台の上では。日本舞踊と素謡の会が相ついで開かれ、朝日カルチャー万葉集講座も。和室での京呉服新作展も、ことごとく喜びに満ち溢れたものでした。
桜花満開。音楽週間「芦屋の春 ’88」は、サティのヴェクサシオンという変わった曲のマラソンーリレー・コンサートをかわきりに、作曲家=ピアニストの三宅榛名氏と高橋悠治氏のピアノ・リサイタルを二夜続け、当サロン共催の音楽会を終えました。いずれも鮮烈な現代感覚に裏打ちされた、熱い人間の息吹きを実感させる感銘深いコンサートでした。 そのお客様で、現代音楽をレパートリーに持たれる尾熊志津江先生の門下生のピアノの発表会も開かれました。 地元の小学校の同窓会も、懐かしいお顔ぶれが揃いました。
新緑の季節。前田嶋之助墨象展では、80歳を迎えようとする老書家のエネルギー溢れる創造性に、驚嘆の念を禁じ得ませんでした。生命の躍動は、植田信朗先生の門下生によるコンサートに引き継がれ。いずれの方も爽やかに若々しい音楽を奏でておられました。 崇教真光芦屋の皆様の記念祭も、盛大なものでした。宗教と医学に関するお医者様の講演も、まことに興味深いものがございました。
織陣座と申しますのは、京西陣の織元が集まられて結成された座名です。各お店から伝統技法の粋を凝らした名品が持ち寄られ、けんらんたる展示会となりました。 一方●(草かんむりに宇)毛健作陶器展では、前衛の気概に満ち、斬新な会場構成とあいまって、大胆な美の香気を発散させておりました。 前川先生の謡曲の会。深田尚子先生の門下生によるピアノ発表会(つぼみ会)。古典と現代。日本と西洋。この月サロンは休む間もない忙しさでした。
この月は梅雨も過ぎ、未だ猛暑を迎えず、お出になりやすい月です。同窓会や法事のあとの御会食、公開講座やニットの内見会。ピアノの発表会では吉村先生のハープの美しい音色が忘れられません。 そして月末。エトヴァス・ノイエスという音楽会が開かれました。作曲家松村禎三先生の作品を、筝の沢井一恵氏を中心にお話しを交えて8曲聴かせて頂きました。ゲストの秋定典江、奥本順子、稲庭達、酒井松道。中川俊郎、安田謙一郎の諸氏には深甚なる敬意と感謝を捧げます。
サロンの真夏はジバンシィー・ヌーベル・ブティックショーによって、華麗に幕を開けました。 そして楽しく懐かしい同窓会が相次ぎ、なかでも附属住吉の皆様は、二次会、三次会までもサロンに居残りされるという空前絶後のおはしゃぎぷりでございました。午後10時までの延々12時間、幹事の皆様、お役目御苦労様でした。 月末は再びファッション・ショー。カネボウVIVATの秋冬のシーズン物が来るべき季節の足音を届けてくれました。
万永美恵子先生、河合浩子先生の門下生によるピアノコンサート、山根会長の長寿の祝賀会などが和やかに開かれて、秋の気配は進み、象彦展では京の深山の草花や木の実がこの上なく豊かに飾られ、漆器のあでやかさを一層引き立ててけんらんたる見事さでございました。 そして下旬、ミネ樣の毛皮展では暖かな冬を、お客様はどなたよりも先に体験なさいました。
秋たけなわ。中原淳子様の純潔無垢な音楽が響きおわると。独創的な組物と日常小物の展示会が始まりました。手仕事の優しさと暖かさは、そのまま三井浄子先生のニットにも引き継がれます。お祝いごともございました。南波春雄様のご出版記念パーティは盛会を極め、各界の紳士淑女の皆様方がお顔を揃えられました。「六魁」は旧制外地六高出身の方々の熱気溢れる寮歌の会でございました。三宅様、還暦おめでとうございました。岩住様、生島様。末長くお幸せに… (尚、一部敬称を略させて頂きます。)
如何でしたか。1年目に較べると、サロンは嘘のような忙しさでございました。お昼と夜のダブル、それに和室が加わったトリプルの日も振りかえれば幾日かあり、なにか粗相はなかっただろうかと、冷汗三斗の思いが致します。 さまざまのご無礼の段、平にお許し下さいませ。と同時に陰に陽に私どもをご指導下さいましたサロンメンバーの皆様には深甚なる感謝の念を捧げます。 サロン主催の催し物は、メンバーの皆様のご希望に添わせて頂きつつ、続けて参る所存でございます。どうぞ、こんなことをすれば面白い。というものがございましたら、お気軽におっしゃって下さいませ。 それでは、皆々様の益々の御健勝をお祈り致します。時節柄くれぐれも御自愛下さいますよう。 敬具
昭和63年10月吉日 山村サロン スタッフ一同 代表 山村雅治
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1988年 10月 発行 著 者 山村 雅治 発行者 山村 雅治 発行所 山村サロン
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