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暑中お見舞い申し上げます。
この夏はことのほか暑く感じられますが、お変わりなくご健勝のことと存じます。 サロンの催事もお蔭さまをもちまして、年々盛況。ありがとうございます。8月は、やってもしょうがないないので、たいして何も致しませんが、9月からは再び怒涛のようなイヴェント・ラッシュになります。音楽会も2本の柱を軸に、いろいろと遊んでみようと考えています。
サロンをめぐるあれこれを書いた本を出しました。「マリア・ユージナがいた」山村雅治著・リブロ社刊(\1,500)ですが、一度お読みいただけると幸いです。たとえば神戸なら、さんちかコーベブックス。東京なら神田三省堂本店などに、比較的たくさんの部数を置いて下さっています。書店売切れ(になればいいのですが!)の場合は、サロンのカウンターにもございます。
それはそれと致しまして、秋からもまた、かわらずよろしくお願い申し上げます。
あちこちの講座を徐々に終えられていますが、サロンは至近の距離にあり、2ヶ月に1度お話を聴かせて項いています。 80歳をこえてから、源氏を読んでいると、なお新しい発見があった。「も」という助詞ひとつに驚くべき意味が込められていた。このお話など好んで先生は語られますが、同時に人間かひとつに打ち込み、年をかさねていくことのすばらしさを吐露されておられるのです。
淡斎先生に指導を頂きながら、山野の花を活けて遊ぶこの会も飄々と続いています。肩に力のはいらぬいらぬ自在な心のありかたに、一歩でも近づかせて頂きたいと出会いのたびに願います。 折にふれては茶杓を削り、あるときは陶芸展を開催し、一服のお茶をいただきながらたのしい座談のときがあります。はじめての方も是非、お茶花の素朴な美しさにふれて項きたいと思います。
岩永弘先生に会のはじめにワンポイントレッスンを頂き、オードブルとワインを楽しんだあと、フリーなダンスタイムです。よき人が集います。 社交ダンスは人の心をひろげます。リズムが変わり、相手が代わり、ステップと回転の夜が更けていくとき、人はだれも和やかなよろこびに充たされていきます。 これも、はじめての方も是非お越し下さい.お一人でも大丈夫です。
■山村サロンコンサート
サロン主催の音楽会、J.S.バッハ・シリーズと、三宅榛名コンサート・シリーズについては「音楽会亅の項目をご覧下さい。そのうち、ショスタコーヴィチをはじめるつもりです。
ソプラノの中嶋常乃氏は年来チャリティコンサートを続けておられます。今回の収益も福祉施設に寄付されました。
マヌエル・カーノは1990年1月に世を去った偉大なギタリストでした。フラメンコ及びアンダルシア民謡のギター演奏をもって聴衆を魑了し、1974年の初来日以来。日本でも多数のファンに愛されました。今回の演奏会には濱田滋郎氏をはじめ、彼の芸術を愛惜する人たちのまごころが結ばれました。 ホセ・マヌエル・カーノはマヌエル・カーノ・タマーヨの息子です。父親も得意としたレパートリーを鮮やかに弾ききりました。それを呼吸して育ったフラメンコはもちろんのこと、詩人ガルシア・ロルカの曲を耳にすることができたのはなによりも得難い体験でした。
ヴィンシャーマン氏はオーボエ奏者、ドイツ・バッハ・ゾリステンの創立者として著名であり、バッハ演奏家としては喜びに満ちた。いのちの躍動を実感させる音楽を創造してきたことに彼の個性があります。 伝統の力、そして大家の年輪がにじみでる講座でした一瞬たりとも時間を弛緩させることなく、ときにはジョークや表情豊かな身振りを伴いながら、おおきな人のおおきい人格の暖かさに包まれました。世俗の曲に用いた旋律をそのまま厳粛な宗教音楽に転用しているバッハの一面をテープでお聞かせ下さったり、新鮮な驚きに充たされた一夜となりました。 藤原昭子さんのピアノでイタリア協奏曲から第1楽章が演奏されました。
二つの企画が重なったコンサートで、サロンとしても待望の夜となりました。バッハを愛する方も三宅榛名さんの音楽を愛する方も、古典と現代をつらぬく音楽の凄さに引きこまれ、私などただただ呆然と聴きこむばかりでした。 三宅榛名さんについては何度も書いてきました。つきぬけた個性が抜群の作曲家・ピアニストです。三上明子さんは東京芸大大学院を終了後、各地の国際コンクールに優勝。ますます幅広い活動が期待されるフルーティストです。
宮後さと子氏はエコール・ノルマル音楽院、国立ベルサイユ音楽院声楽科およびオペラ科首席卒業。フランス音楽院連盟主催オペラコンクール最優秀貫受賞後、フランスを中心にヨーロッパ各地においてオペラ、オペレッタ、コンサートに活躍。現在パリ在住のソプラノ歌手です。透明な美しい声、斬れのよいテクニックが印象的でした。 田原祥一郎氏はヴェルディ「椿姫」、チレア「アドリアナ・ルクヴルール」からの二重唱に賛助出演。むせるようなオペラの雰囲気が場内に充ちました。久邇之宜氏は声楽、器楽、合唱における共演ピアノの第一人者です。
3度目の来演、飄々とした独自のシャンソンの味わいが、じつは求道者のきびしさに裏打ちされていること。また、ついはみだしてしまうお喋りも、はにかみがちな表情も、本当のかなしみを胸の底に沈めている人だからこそ。 涙とやすらぎの不思議な一致は、たとえば津軽方言詩集から「日のあたらない村」や、長大な傑作として生まれかわった「マイ・オールド・ケンタッキー・ホーム」に現れていました。
回をかさねるごとに、石川功氏門下のかたがたの歌唱も深みを増してきました。歌詞の内容を彫り深く劇的に表出するスタイルは演唱と名づけるべき、歌のいのちを槿極限まで生かしたものです。最高に燃焼したステージでは作詞家、作曲家、歌い手の全人生がわずか数分間のうちに閃きみえます。主催者・石川功氏の歌はステージそれぞれに新しいシャンソンの局面を切りひらく創造性に充ちたものです。
半年前、6月に初来演したジャズ・デュオの再演。多くのファンが集い、年末の夜の深さをジャズに酔いしれました。
ボフスラフ・マルティヌーは1890年ポリチュカに生れ、1959年に没したチェコスロヴァキアの作曲家。昨年生誕100年を迎えました。 デュオハヤシのとりわけ愛する音楽としてマルティヌーの作品があります。フルートに金昌国氏をお迎えし、美しい室内楽の数々とゲストの方々の楽しいお話でマルティヌー生誕100年を祝いました。デュオハヤシは、1973年から室内楽活動を開始、イタリアを中心に活躍。各地の国際コンクールでの優勝歴も多い、実力あるデュオです。金昌国氏はフルートの国際的な第一人者。大阪生れ、神戸育ちということで、つい身近に感じてしまいます。
サロンの新年はフレッシュな女性奏者3名による演奏会で始まりました。いずれも神戸女学院音楽部出身。ショパン、モーツァルト、J.シュトラウスをはじめ、よく知られた小品の数々であたらしい年のはじめを祝いました。
アルゼンチンの至宝的なピアニスト、ピアノ教師、アルゲリッチやゲルバーも彼女の教えを受けたことがあります。芦屋のファンに馴染みが深いエドワルド・デルガドの師でもあります。生粋のアルゼンチン人であり、ヨーロッパと南北アメリカ大陸の主要都市でリサイタルを開き好評を博すなど国際的に活躍してきました。民族の音楽であるタンゴをピアノ音楽として芸術性を持たせたことは偉大な功績であり、アルゼンチンの多くの作曲家がその作品の初演を彼女に依頼しています。エル・チョクロ、ラ・クンバルシータ、そのほかピアソラ作の数々など、まさにアルゼンチンの心といのちが躍動するすばらしい一夜となりました。
弘井俊雄さんは1976年イタリア・ミラノ国際ギターコンクール金メダル受賞の後、ミラノ市の招待でリサイタルなど国際的に活躍。芦屋在住の力あるギタリストです。ソロ・ギターでバッハばかりの一夜もめずらしく、ギター音楽への信頼がみなぎる演奏会となりました。近々、フォンテックからデビューCDが発売される定です。バッハとヴィラ=ロボスが収録されています。
陳さんは1968年遼寧省沈陽の音楽院を卒業、中国東方歌舞団所属の歌手としてフランスをはじめ西欧諸国、北アフリカ、アメリカなど世界各地で公演し、高く評価されてきました。日本へは10年前からたびたび来訪、NHK中国語講座のレギュラー歌手として活躍。日中友好親善に大きな役割を果たされています。 当夜は「草原情歌」「夜来香」など中国の歌を前半に、「蘇州夜曲」「昴」など日本の歌を後半においたプログラム。ポール・アンカの「マイウェイ」をラストに幅広いレパートリーを披露されました。卞立強(べんりっきょう)先生(京都外国語大学教授)、林達次先生御夫妻の心篤いご協力を賜りました。
アコーディオンは軽音楽では身近な楽器ですが、7オクターヴもの音域をもつクラシックアコーディオンは30年ほど前に西ドイツで開発されました。両手を使ってほぼピアノと同じことができる。といった表現力の豊かさを誇ります。喜美江さんは4歳のころからアコーディオンに親しまれてきた、まさにこの楽器を弾くために生まれてこられたような人です。スカルラッティの冒頭からすでに楽器と奏者が魅力に引きつけられ、続くグバイドゥリーナでは風の音を含む多彩な音色と圧倒的な表現力に息をのみました。 三宅榛名さんはめずらしい楽器、新鮮な響きをきわめて個性的、かつ斬新にとりいれられる作曲家です。自作自演いずれも強烈なオリジナリティがあり、高橋アキさんの演奏により知られている「イエスタディ」、タイの作曲プレマナンダの芦屋での初紹介を含め、お二人のジョイントはたのしく、そして凄みのある忘れ得ぬ音楽会のひとつになりました。
ジャズにもいろいろな楽器が用いられますが、ヴィブラフォンは旋律と和音を奏でることができる打楽器であり、ライブハウスでも比較的に耳にすることは少ないといえます。大井貴司さんは国立音大打楽器科卒。9歳からマリンバにふれ、大学入学と同時にヴァイブを始め、卒業後ただちにプロとして演奏活動を開始。実力者の率いるバンドのメンバーを経て、現在「大井貴司 & Good Vibration」で活躍中。フィル・ストレンジは度々の出演で、かつてアメリカでグリークやプロコフィエフの協奏曲を舞台で弾いたこともある、というピアニスト。古典の修練を経たお二人のジャズはさわやかなものでした。
■いろいろの催事から
素謡、仕舞、独吟の会。鶴亀、橋辨慶、吉野天人、屋島、桜川、安宅、花筐、蝉丸、葵上、芦刈、船辨慶、高砂、ほか。朝はやくから夜半まで、花外楼のお食事をとられてたのしい一日を過ごされました。
曽和正博先生門下の小鼓の会。嵐山、網の段、羽衣、葛城、七騎落、通小町、高砂、富士太鼓、船辨慶ほか。午後1時はじまりで、なごやかに半日を過ごされました。
川相夙子さんは名古屋在住の織物作家。糸から染め上げたセーターや帽子、生活小物など、暮らしに根ざした作品の数々を2日間にわたって展示されました。目にやさしい色彩が、独特のデザインに息づいていました。
川相さんはまた同人詰「ろごす」に属する詩人でもあります。現代音楽にも関心を持たれ、12月の三宅榛名さんのコンサートには名古屋から駆けつけて下さいました。
中井和子氏は京都府立大字女子短期大学教授。1976年から恩師のすすめで「源氏物語」の現代京ことは訳にとりかかり、12年がかりで全訳を完成されました。「京ことば・源氏物語」として出版されています。 古典を現代に蘇らせる試みはまことに貴重であり、「いずれのおんときにか」がどのように京ことばにのせられるかは、京都四条の呉服屋に育たれた中井和子氏の独壇場でしょう。
ブライダル・ファッションショー。桂由美さんご白身も会場にみえられ、お話をまじえて作品を紹介されました。もう、華麗というしか……
諸泉陽子先生門下のあざやかなフラワーアレンジメントの会です。前日から熱心な生け込み。1年半に一度の会にかける皆様の気迫が場内に美しく展示されました。
芦屋婦人会長をも務められる広瀬忠子氏らを中心に、ほぼ毎日行われています。講師の先生をお招きし、お話のあと共に昼食をいただく、といったとても優雅な会。 この4月には文楽の催しをお願い致しました。ぼちぼちと、「文楽鑑賞の楽しみ」を復活させていこうと思います。
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1991年 8月 1日 発行 著 者 山村 雅治 発行者 山村 雅治 発行所 山村サロン
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