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<< 1995.2.17 ■会報号外 1995.4.12 1995.7.13 >> |
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瓦礫をこえて 皆様、その後いかがお過ごしでしょうか。2月17日付「会報号外」をお送りして以来、たくさんの方からお便りやお電話を頂きました。私のほうは、あれからラポルテ復旧のための会議や、小田実さんの「市民救援基金」のお手伝いなどに忙しく、「休んでいても休めない」という不思議な日々を過ごしています。 生きててよかった、と胸をなでおろすことが許された時期は終わりました。亡くなられた5,500名に余る人たちの息をつなぐ、つないでいくことが今後の文化活動の基礎になると思っています。街を創っていくことは建物をつくることばかりではありません。街を創る精神的な核を明らかにしていくことです。震災を経て、いろいろなことがはっきりしてきました。是は是、否は否。善は善。悪は悪。美しいものと醜いものが、いまほど鮮やかに浮き出してみえるときはありません。 みんな重い荷物を背負って、よたよたと歩き始めざるを得ません。肉親を失い家を失い仕事を失い、それでも人間の心を失うまいとして、歯をくいしばり、私も歩いています。金額の多寡にかかわらず、家をなおし、職場を保つために、被災者はひとしく重い借金を背負います。みんな貧しい。少なくとも被災地では、物質文明かもたらした一つの「社会悪」がきれいに清算されたかのようです。今後は私たちの生活は、万一お金に余裕ができてくれば、市民として、どう他の市民のために用いるのか、が問われることになるでしょう。 政治にも行政にもあまり多くのことを期待できません。その限界を震災を通じて私たちは、いやというほど目の当りに致しました。主役は市民です。街も文化も経済活動も、人間の心を棄てないでいる市民のものです。 震災後、報道はもうひとつの大事件のために「阪神大震災」からはますます遠ざかる傾向にあります。 1995年は私たちにとって特別の区切りの年になりました。個人の生活史もふくめた大きな歴史の区切りです。私たちは、人類史の先端を歩いているのです。
(山村難治 Apl, 12 1995)
神戸新聞支援のために 恐るべき震度7に本社ビルが直撃された「神戸新聞」が、どれほどの雄々しい勇気と、瞬時の決断力と行動力、そして報道人のプロ意識に支えられて、仕事を続けたか、被災地の人間はだれでも知っています。「京都新聞」に救援を仰ぎつつ夜の8時に4面の「17日付」のタ刊ができあがりました。サンテレビもAM神戸もKISS-FMも同様、地元局の放送が私たちを勇気づけてくれたことも忘れることはできません。 ただ、新聞は電波とちがって配送物です。配達所も宅配先の家々の大部分が被災地にあり、その多くが倒壊してしまいました。配るにも配る先がない……… 神戸新聞社発行の「阪神大震災」記事が集められた一冊があります。震災当日に発行された「17日付」にはじまる写真の迫力は圧倒的であり、うまいまずいをこえたカメラマンの鼓動が伝わります。また、社説とコラム「正平調」にも熱い涙とながれる血を感じます。遠くのできごとではない、当事者の息吹がみなぎる生きた報道を、現在も「神戸新聞」は続けています。米騒動、大水害、大空襲でそのたびに街はずたずたに引き裂かれ、そのたびに市民は立ち上がってきました。この震災でも同じです。「神戸新聞」も市民と同じ歴史を歩んでいます。 「神戸新聞」あるいは「デイリースボーツ」を駅売りで買っていましたが、前から購読していた一つをやめて「神戸」を購読することに致しました。もし、よろしければ、皆さんにも購読をお願いしたいのです。最寄りの配達所にお電話されるか、あるいは私の方までご一報下されば幸いでございます。
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1995年 4月 12日 発行 著 者 山村 雅治 発行者 山村 雅治 発行所 山村サロン
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